ホーム > 第73回地域農林経済学会大会

大会シンポジウム

「みどりの食料システム戦略と有機農業技術普及の課題:欧州の経験と示唆」

10月28日(土)[13:00~16:15]

 第73回および第74回大会では,統一テーマとして「みどりの食料システム戦略と有機農業の可能性」を設定している.本年度の第73回では,講演会形式の問題提起・共有の機会として,みどりの食料システム戦略を題材に,有機農業技術の普及可能性を検討することにより,農林業問題研究の現代的課題を位置付けることを目的とする.
 みどりの食料システム戦略では,特に農業部門において,①化学農薬の使用量(リスク換算)を50%低減させること,②輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30%低減させること,③耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%(100万ha)に拡大すること,という具体的な目標が示されている.しかし,これらの目標の達成を可能とする技術的な手段の提示については,イノベーションやデジタル化の推進,科学技術の活用等の具体性に欠ける範囲,すなわち,農業のスマート化・デジタル化への過度の期待を背景とした将来展望にとどまっている.このとき,これらの目標を達成するためには,むしろ我が国における有機農業普及の技術的な課題を具体化し,欧州における「Farm to Fork(農場から⾷卓まで)戦略)」からそれらの普及戦略を学ぶことからはじめる必要があると考える.
 そこで,第73回大会では,以下の基調講演と若手講演3題をお招きし,みどりの食料システム戦略と我が国における有機農業技術普及の可能性を国際的な視野も含めて考える機会としたい.なお,第74回大会では,本大会において共有した問題認識を基礎として,シンポジウム形式の議論を計画している.

1.会長講演 秋津元輝(京都大学)
2.基調講演 みどりの食料システム戦略と有機農業の農業論:農の原点に立ち帰って考える(仮)
  中島紀一(茨城大学名誉教授)
3.若手講演1 より持続可能なフードシステムに向けたEU有機農業振興政策の貢献と課題(仮)
  浅井真康(農林水産政策研究所:現OECD派遣中)=オンライン報告=
4.若手講演2 オーストリアにおける有機農業技術普及の現状と農業環境政策(仮)
  石倉 研(龍谷大学)
5.若手講演3 Organic farming systems and rural development in Italy; current situation
  and way forward(Working title)
  Simona Zollet(広島大学)