ホーム > 第59回地域農林経済学会大会

地域ブランドの可能性と限界

-食料産業の恵みを市民社会へ-

座長 岸本 喜樹朗(桃山学院大学)

第1報告 斎藤 修(千葉大学)
      地域ブランドをめぐる戦略的課題と管理体系」

第2報告 清水 正博(イズミヤ総研)  
      小売業における地域ブランドの導入と展開
       -イズミヤの取り組む「大阪産(もん)野菜」を中心として-

第3報告 青谷 実知代(神戸松蔭女子学院大学)  
      地域ブランドをめぐる消費者行動の行方と取組課題

第4報告 胡 柏(愛媛大学)
      地域ブランド形成の困難な産地の活性化戦略
      -食と農を軸とする豊かな地域社会と穏やかな暮らしの形成に関する展望-

総括コメンテーター
平田 篤洲(産経新聞東京本社企画事業局)、佐藤 正秀(JA高崎経済部)
座長解題
  この2年間連続して、われわれは、「地域の豊かさをどう把握し、どう発展させるか」について議論を深めてきた。この切り口の1つとして、本年度のシンポジウムでは、「地域ブランド」を取り上げ、これまでの議論をさらに膨らませたい。
食品をはじめ、多くの品目で「地域ブランドづくり」が日本全国各地で盛んに行われている。生産・流通ばかりでなく、地域団体商標の登録・申請や、それに対する商標権などをめぐる制度的枠組みも整備されてきている。これらの取り組みによって、それぞれの産品の付加価値を増大させ、また、認知度を高めることにより、需要の拡大が実現してきているというポジティブな動きがある一方で、「地域ブランド」を創造したといっても名称やロゴを決めただけでなんらプラスの効果が現れず困惑の度を高めている産地もみられる。
食品の地域ブランドをめぐる問題を検証することは、「地域」「農林」「経済」をキーワードに持つ地域農林経済学会では、一度は取り組んでおかなくてはならないものであろう。そこで、これまでの学会と産業界との地域ブランドへの取り組みを総括し、今後を展望するようなシンポジウムを開催するに至ったものである。
座長(岸本)の、食品マーケティング研究を踏まえた解題を受けて、
第1報告(斎藤)では、これまでの同氏を中心にした地域ブランドに関する研究蓄積から、地域ブランドの実践的課題と地域ブランド形成・維持の理論的枠組みを提示する。
第2報告(清水)では、小売業での展開事例を踏まえて、食品地域ブランドの流通の実像を明らかにするとともに、流通からみた地域ブランドへの期待と限界を示す。
第3報告(青谷)では、これまでの同氏のブランド研究の蓄積を踏まえて、消費者視点からみた地域ブランドの意義と課題を明らかにする。
第4報告(胡)では、あえて、地域ブランド形成の困難な産地を意識し、産地の生き残りや農村活性化における地域ブランドの有効性を検証するとともに、地域ブランドを持たない産地、こうした産地を抱える地域の活性化の可能性と条件について検討する。