ホーム > 第63回地域農林経済学会大会/ 岡山大学

大会講演

大会講演
10月19日(土)[13:10~14:30]
10月20日(日)[13:00~14:15]

(趣旨)方法論の絶えざる検討は社会科学の生命線である。学会にとっては,そのレゾンデートルを確認する作業がまさに方法論の検討にほかならない。地域農林経済学会は,メゾ領域としての「地域」に根拠をおくことを表明し,その観点からこれまでにもいくつかの成果をあげてきたが,必ずしも十分というわけではない。その上,TPPへの交渉参加表明やRCEP(いわゆるアジアFTA)の交渉開始,国内的には道州制への動きなど,社会経済的枠組みが大きく変わりつつある。
こうした状況の下で,本学会が基盤としている農業・農村地域において何が起こっているのか,どのような方向に向かっているのか,学会として何を明らかにすべきなのかを追究・検証することは優れて現代的な課題であるとともに,方法論の再検討を迫ってくる課題でもある。こうした大きな問題意識の下に,今期の企画担当理事は2年間にわたる共通テーマを「グローバル・ローカルの両面からみた食農資源問題」として設定し,本学会のレゾンデートル(メゾ領域)に関する議論を喚起したいと考えた。
本年の岡山大会では,問題の動向と政策的枠組みに関して共通の認識を持つために,①日本の農村地域政策の方向性,および②国際的にみた資源・食料問題の動向の二つの基調講演を設定した。①については,農村地域のあり方に大きな変更を迫るような政策的枠組みが次々に登場している中で地域から見たときに何がポイントになるのか,それへの対応方向をどう考えるのかといった点が主要な内容になる。②については,食料生産の基礎的資源である土地と水の確保をめぐって繰り広げられている,大規模海外農業投資の国際的な動向をおさえるとともに,この問題と日本の農村地域がどのようにかかわるのかを検討する。

報告者と報告タイトル(仮題)
小田切徳美(明治大学) 「日本における農村地域政策の新展開」
池上 甲一(近畿大学) 「大規模海外農業投資による食農資源問題の先鋭化とアグロ・フード・レジームの再編」

大会セッション

大会セッション
10月20日(日)[14:20~17:00]

●第1セッション:食の生産と消費を結ぶ倫理の現在と未来:思想と実践から(要旨PDF)
コーディネーター・座長:秋津元輝(京都大学)「食の倫理における思想と実践」
(報告者別発表要旨PDF)
立川雅司(茨城大学)「Civic Food Networks論:フードシステムを消費者/市民の立場から再構築する」
波夛野豪(三重大学)「CSAはなぜ注目されるのか:産消提携との比較から」
辻村英之(京都大学)「『農業を買い支える仕組み』の倫理的基盤:産消提携理念とフェア・トレード」
今泉晶(京都大学大学院)「なぜ自家採種を続けるのか:ある農家における『食べもの』と人との関係」
竹之内裕文(静岡大学)「いのちの次元から食を問いなおす:『食の倫理』のために」


●第2セッション:六次産業化を駆動する農企業ネットワーク―その展開と可能性―(要旨PDF)
コーディネーター・座長:小田滋晃(京都大学)

長命洋佑(京都大学)「六次産業化の進展と次世代を担う農企業ネットワーク」
室屋有宏(農林中金総合研究所)「地域全体の活性化につながる『地域の六次化』の必要性」
川﨑訓昭(京都大学)「農企業ネットワークをめぐるガバナンスとコンフリクト」

パネルディスカッション「六次化は地域に何をもたらすか?」
座長:小田滋晃(京都大学)・長命洋佑(京都大学)
パネラー 川﨑訓昭(京都大学),室屋有宏(農林中金総合研究所),山田敏之(こと京都株式会社),八木隆博(株式会社 博農),小根澤貴宏(農林水産省近畿農政局)


●第3セッション:農林業センサスの分析力(要旨PDF)
コーディネーター:藤栄剛(滋賀大学)・仙田徹志(京都大学)
座長:石田正昭(三重大学)・仙田徹志(京都大学)

小田切徳美(明治大学)「農林業センサスをめぐって―2015年センサスの検討を終えて―」
石田正昭(三重大学)「農地基本台帳、農業センサスを利用した「耕脈」調査の有効性」
伊庭治彦(神戸大学)「集落営農と農林業センサス」
駄田井久(岡山大学)「農業センサスを利用した地域性の分析」
藤栄 剛(滋賀大学)「農業経営者の交代と経営構造・行動の変化」