ホーム > 第69回地域農林経済学会大会

次世代に向けての地域農林経済学の再検討─地域農林業の現場の新たな捉え方─

開催日時 10月26日(土)[14:15~16:30](記念館小講堂)

「学究者と実際家との交流・切磋琢磨」「現場主義」の下で、地域や地域経済(メゾレベル)に分析の焦点を合わせる地域農林業研究の学会として、地域農林経済学会は発展してきた(注)。前身の関西農業経済学会を含めて70回目の記念大会が、来年度に開催される。
 地域農林業研究の現場の捉え方(現場をどう理解し、どう位置付けるか)について討議した50回記念大会。地域農林業(現場)の先端の動きを捉えるための地域農林経済学のあり方について討議した60回記念大会。このように記念大会において恒例となっている、地域農林業の現場の捉え方の検討を、来年度の70回記念大会(シンポジウム)と本年度大会(講演)においても行いたい。今回は令和元年を迎え、新たな時代を担う若手研究者に向けての、地域農林経済学の方法論の再検討になる。
 この地域農林業の現場の新たな捉え方についての検討は、67・68回大会における実験手法の有用性についての討論から、始まっていると位置付ける。
 また講演2(山下)は、68回大会・特別セッション「若手研究者にとって魅力的な地域農林業研究とは何か?」において指摘された、若手が挑む新たな研究方法・領域について評価されにくいという不安を、若手研究者自身が解きほぐすものである。農家行動のシミュレーション手法が、「地域農林業の現場の捉え方」として有用であるとともに、「学究者と実際家との交流・切磋琢磨」を深化させることが強調される。
 さらに講演1(秋津)は、同じく特別セッションで指摘された、最近、質的研究が評価されにくいという不安を、副会長が解きほぐそうとするもので、質的・社会実装型研究における現場の理解・位置付けの方法・フレームの解説から、同研究が投稿論文として受理されるまでのプロセスや要件に至るまで、具体的な説明がなされる。
 来年度は、以上の検討を踏まえて、「強い仮説(演繹法)と弱い仮説(帰納法)の共存」(注)という地域農林経済学の特質をめぐる報告の後、若手研究者を中心にした総合討論を行いたい。

 注:河村能夫「地域農林経済研究は何を目指してきたか」 68回大会・特別セッション「若手研究者にとって魅力的な地域農林業研究とは何か?」を参考にしている。


司会|中村貴子(京都府立大学大学院生命環境科学研究科)
企画解題|辻村英之(京都大学大学院農学研究科)
講演1|地域農林業研究に質的研究を取り戻す─質的研究論文の復権とその書き方─
    秋津元輝(京都大学大学院農学研究科)
演題2|農をとりまく異なる分野との対話─シミュレーション手法を用いた研究─
    山下良平(石川県立大学生物資源環境学部)